フードマイレージならびに料理の炭酸ガスの量の推計方法

以下の推計方法は豊橋技術科学大学環境・生命工学系後藤研究室で推計したものです。フードマイレージやカーボンフットプリントは世界的にも研究途上でありますので、ここで表示してある数値はあくまでも目安であることをご了承ください。

  1. 使用したデータ
    CO2排出量は各料理に使用している食材ごとの生産及び輸送と調理によるCO2排出量の総和とし、フードマイレージは料理に使用している各食材のフードマイレージの総和とした。料理、使用する食材の種類、食材の使用量及び調理時間は味の素(株)のレシピ大百科を参考に決定した。また、食材の使用量が2人分、4人分となっているものは1人分に換算して推計を行なった。調理時間はガスを使用する場合と電気を使用する場合の2通りで設定した。選定した料理は主食、主菜、副菜、汁物、飲物、デザートの6カテゴリ、計49種類である。
  2. 食品の生産によるCO2排出量の推計
    食品の生産によるCO2排出量原単位には、味の素「食品関連材料CO2排出係数データベース」(以下、データベース、表1,2及び白木ら)(表3)を使用した。このデータベースは、味の素が産業連関表による環境負荷原単位データブックに記載されている生産額当たりのCO2排出係数を取引計量単位(重量・容積・個数など)に換算したものである。データベースには1990年、1995年、2000年の3つの年についてのデータがあったが、本研究では最新の値である2000年のデータを使用した。野菜・果実類の小松菜及びバナナ、海産物のいか及びたこについてはデータベースに該当する項目がなかったため、小松菜は「キャベツ」、バナナは「パインアップル」、いか及びたこは「その他の内水面漁業」のCO2排出原単位で代用した。畜産物(牛肉、豚肉、ブロイラー)については、それぞれの畜産物の生育によるCO2排出量にと畜によるCO2排出量を足し合わせて各CO2排出量原単位とした。それぞれのCO2排出原単位は頭(羽)数当たりで表示されていたため、精肉重量当たりのCO2排出量に換算した。牛、豚、鶏の生体1頭(羽)当たりの精肉重量は農林水産省)を参考にして計算し、それぞれ306[kg]、52[kg]、1.125[kg]とした。また、生産によるCO2排出原単位の季節変化は露地・施設の区別がある野菜のみに限定し、野菜生産出荷統計において春夏・秋冬、冬春・夏秋といった区分があるものをそれぞれの季節に割り振った。それ以外の野菜、畜産物、海産物、調味料等については生産によるCO2排出原単位は季節によって変化しないものとした。
    なお、料理のCO2排出量は食品の生産及び輸送、調理によって発生するCO2排出量の総和とした。推計には式(1)を用いた。
    (1)(1)
    M:料理によるCO2排出量[g-CO2]P:食品の生産によるCO2排出量[g-CO2]
    T:輸送によるCO2排出量[g-CO2]C:調理によるCO2排出量[g-CO2]
    i:料理の品目j:食品の品目k:季節
    食品の生産によるCO2排出量は以下の式(2)のように求めた。
    (2)(2)
    A:食品の生産によるCO2排出量原単位[g-CO2/単位]U:食品の使用量[単位]
  3. 食品の輸送によるCO2排出量の推計
    食品の輸送については、陸上輸送はトラックを使用するものとした。海上輸送は船舶もしくは航空による輸送が考えられたが、食糧需給表(脚注4)及び港湾調査年報(脚注5)より、平成18年の食料輸入量が57597[千t]、農林水産品の船舶による輸入量が50172[千t]であったため、船舶による輸入が一般的であると判断し、輸入は全て船舶とした。輸送によるCO2排出量原単位は国土交通白書(脚注6)より営業用貨物車153[g-CO2/t/km]、船舶38[g-CO2/t/km]を使用した。なお、トラックには営業用貨物車を代用した。陸運の輸送距離はlivedoor地図情報(脚注7)のWebページを、海運の輸送距離はWorld Shipping Register(脚注8)のWebページを使用してそれぞれ求めた。国内の産地については野菜生産出荷統計、畜産物流統計、水産物流調査より各月(季節)の収穫量が多い県を国内の産地とし、調味料等については全て愛知県産とした。輸送距離は産地の道県庁から愛知県庁までの距離とした。陸運の場合には単純に道路距離の値を使用し、愛知県及び海運を伴う北海道、沖縄からの輸送に関しては以下のように求めた。
    • 北海道
      北海道庁から函館港までの道路距離、函館港から名古屋港までの航路距離、名古屋港から愛知県庁までの道路距離の総和とした。
    • 沖縄
      沖縄県庁から本部港までの道路距離、本部港から名古屋港までの航路距離、名古屋港から愛知県庁までの道路距離の総和とした。
    • 愛知
      豊橋市役所から愛知県庁までの道路距離とした。
    海外の産地については日本貿易機構の貿易統計より、2007年の総計を用いて日本への輸出量が最も多い国を海外の産地とした。輸送距離は、食品の産地となる国の港から名古屋港までの航路距離及び名古屋港から愛知県庁までの道路距離の総和とした。食品の産地からの輸送距離及びCO2排出原単位を表4に示す。
    食品の輸送によるCO2排出量は、以下の式(3)、(3)'、(3)''のように推計した。
    (3)(3)
    (3)'(3)'
    (3)''(3)''
    T:食品の輸送によるCO2排出量[g-CO2]
    Tt:トラックでの輸送によるCO2排出量[g-CO2]
    Ts:船舶での輸送によるCO2排出量[g-CO2]
    Bt:トラックのCO2排出量原単位[g-CO2/g/km]Dt:トラックの輸送距離[km]
    Bs:船舶のCO2排出量原単位[g-CO2/g/km]Ds:船舶の輸送距離[km]U:使用量[g]
    i:料理の品目j:食品の品目k:季節
  4. 調理によるCO2排出量の推計
    調理によるCO2排出量は、ガスコンロ使用によるものと電気使用によるものの二通りで推計した。各CO2排出量は以下の式(4)、(4)'、(4)''を用いた。なお、ガスは都市ガスとLPGと2種類が考えられたが、LPGの全世帯での普及率(脚注9)が53%と高かったので、ガスはLPGを使用するものとした。
    (4)(4)
    (4)'(4)'
    (4)''(4)''
    C:調理によるCO2排出量[g-CO2]Cg:ガスコンロ使用によるCO2排出量[g-CO2]
    Ce:電気使用によるCO2排出量
    G:LPGのCO2排出原単位[t-CO2/TJ]K:ガスコンロのガス消費量[kJ/h]
    tg:ガスコンロの使用時間[min]E:発電によるCO2排出原単位[g-CO2/W/min]
    W:調理器具の消費電力[W]te:電気の使用時間[min]
    LPGのCO2排出原単位は文献より59.84[t-CO2/TJ]、ガスコンロのガス消費量はカタログより5250[kcal/h]とした。また、発電によるCO2排出原単位は中部電力の0.000481[t-CO2/kwh]値を使用した。炊飯器は手元に所持していたナショナル(現Panasonic)電子ジャー炊飯器SR-ME10(定格消費電力は650[W])を使用するものとした。
    調理時間については元にしたレシピからガスコンロの使用時間が分からなかったため、ガスコンロの使用時間は調理に要する時間をそのまま用いた。また、米の炊飯時間については実際の炊飯器を使用して測定し、40[min]とした。表5-7にそれぞれメニューの調理時間を示す。
  5. 料理のフードマイレージの推計
    各料理のフードマイレージは、以下の(5)式を用いて推計した。
    (5)(5)
    F:料理によるフードマイレージ[kg・km]U:食品の使用量[g]D:輸送距離[km]

表1.食材の生産によるCO2排出原単位及び生産地(その1)
食材の生産によるCO2排出原単位及び生産地(その1)
資料:(注)味の素「食品関連材料CO2排出係数データベース」(脚注13)
(注2)野菜生産出荷統計(脚注14)、畜産物流統計(脚注15)、水産物流調査(脚注16)
(注3)貿易統計(日本貿易機構Webページ)(脚注17)

表2.食材の生産によるCO2排出原単位及び生産地(その2)
食材の生産によるCO2排出原単位及び生産地(その2)
資料:(注)味の素「食品関連材料CO2排出係数データベース」

表3.季節変化のある野菜の生産によるCO2排出原単位
季節変化のある野菜の生産によるCO2排出原単位
資料:白木ら

表4.生産地ごとの輸送距離及びCO2排出原単位一覧表(国内)
生産地ごとの輸送距離及びCO2排出原単位一覧表(国内)
資料:livedoor地図情報

表5.生産地ごとの輸送距離及びCO2排出原単位一覧表(海外)
生産地ごとの輸送距離及びCO2排出原単位一覧表(海外)
資料:World Shipping Register

表6.主食の料理、使用食材、重量、調理時間
主食の料理、使用食材、重量、調理時間

表7.主菜の料理、使用食材、重量、調理時間
主菜の料理、使用食材、重量、調理時間

表8.副菜、汁物、飲物、デザートの料理、使用食材、重量、調理時間
副菜、汁物、飲物、デザートの料理、使用食材、重量、調理時間

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  1. 【味の素KK】:レシピ大百科(http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/より閲覧可能:2008年12月8日現在)
  2. 白木達郎・橘隆一・立花潤三・後藤尚弘・藤江幸一、野菜生産によるCO2排出量の変遷に関する研究、システム農学、24(1)、11-17,2008
  3. 農林水産省統計部:グラフと絵で見る食料・農業-統計ダイジェスト-,農林水産省(http://www.toukei.maff.go.jp/dijest/tikusan/tiku.htmlより閲覧可能:2008年12月8日現在)
  4. 大臣官房食料安全保障課:平成19年度食糧需給表,農林水産省,2008.
  5. 国土交通省総合政策局情報管理部:港湾統計(年報),国土交通省,2006.
  6. 国土交通省総合政策局政策課:国土交通白書,国土交通省,2008.
  7. livedoor:livedoor地図情報(http://map.livedoor.com/map/route?URI=routeより閲覧可能:2008年12月8日現在)
  8. World Shipping Register:SEA DISTANCES-VOYAGE CALCULATOR,http://e-ships.net/
  9. LPガス安全委員会,日本ガスメーター工業会:LPガスご利用のためのミニ知識(http://www.lpg.or.jp/download/pdf/minichishiki.pdfより閲覧可能:2008年12月8日現在)
  10. 温室効果ガス排出量算定方法検討会:温室効果ガス排出量算定に関する検討結果,環境省2006.(http://www.env.go.jp/earth/ondanka/santeiho/kento/h1808/11energy.pdfより閲覧可能:2008年12月8日現在)
  11. 中部ガス:ガス器具総合カタログ
  12. 環境省報道発表資料:平成18年度の電気事業者別排出係数の公表について(http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8836より閲覧可能:2008年12月8日現在)
  13. 味の素株式会社:味の素グループ版「食品関連材料CO2排出係数データベース」('90・'95・'00年版3EID対応),2007(http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/より閲覧可能:2008年12月8日現在)
  14. 農林水産省大臣官房統計部:平成18年産野菜生産出荷統計,2006.
  15. 農林水産省大臣官房統計部:平成18年畜産物流統計,2006.
  16. 農林水産省大臣官房統計部:平成18年水産物流通統計年報,2006.
  17. 日本貿易機構:貿易統計データベース品目別国別表(http://www.jerto.go.jp/indexj.htmlより閲覧可能:2008年12月8日現在)

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